容器を開発する流れについて(樹脂成型)

市場で販売される商品には様々なパッケージや容器を使用しています。
容器業界で仕事をしていても、ショップに行くと本当に多彩な容器が陳列されており、勉強になるとともに世の中にはたくさんの開発者がいるのだろうと想像されます。

容器の開発ブロセスはものづくり分野の中では比較的シンプルな方だと思いますが、それでもしっかりと開発しなければ良い商品は出来上がりません。

今回は樹脂容器を開発するプロセスについて簡単に説明します。

1:コンセプトに基づきイメージラフを作成
2:材質と成型方法を検討する。
3:ラフ図面と材質、使用する樹脂量を想定し、概算コストを出す。
4:問題なければ詳細図面を作成。満注容量(O.F.)も計算する。
5:図面を元にモデル製作。切削モデルが主力ですが、最近は精度が良くなってきた3Dプリンターを使い、効率良く容量確認もできるようになりつつあります。
6:容量やサイズ、デザインに問題なければ、金型図面作成。
7:金型図面に基づき金型作成。
8:テスト成型と金型の修正及び研磨による千分の数ミリ〜百分の数ミリの微修正を行い、トライ成型&エラーチェックを繰り返す。
9:修正完了後、プレ量産成型を行い、図面との整合、容器としての基本性能を検証。
10:量産開始

上記のうち時間を費やす工程は上記8の金型の修正です。何度も繰り返し修正するのは、理由があります。金型修正時、削りすぎると元に戻らない為、時によっては大変高価な金型を一から作り直さなければならないというリスクがあります。
一回の修正で完成することはあまりありません。
容器で使う樹脂は熱による収縮が発生し、金型通りの形になかなか仕上がらないのです。

多少ラフな感覚から精度を上げていき、金型をつくらなければ、理想に近い成型品に仕上がらないため、いつも時間と労力の戦いに悩まされます。

商品によって、ここまでのプロセスが必要ないものもありますが、全てのポイントで経験上重要だと思うことは「決断する力」だと思います。

スライド1

この力が強いほど商品に愛着も湧きますし、どのような形で仕上がっても売っていこうとする気力も出てくるのではないでしょうか?

大きな組織ほど、開発者と販売者の気持ちに温度差が出る場合があるかと思いますが、ここまでの開発プロセスを共有することも大切なことだと思います。
ちなみにもう一つ時間を費やす工程があります。

これはデザイン化するまでのプロセスです。個人事業主であれば、決済まで全て自分で決めることができますが、組織体であれば、企画・購買・デザイナー・経営者… 決まるまでのプロセスが必要となります。なかなか決断が進まず時間がなくなり、決まった時から大急ぎで金型を製作する羽目になる場合もあります。

ここまでのプロセスを効率化することが物理的にリードタイム短縮する早道かもしれませんね。